「本革のような上品さが欲しいけれど、重いバッグは肩が凝る」「雨の日でも気兼ねなく使えるバッグが欲しい」
そんなわがままな願いを叶えてくれるのが、今話題の「アップルレザー」のバッグです。
廃棄されるはずだったリンゴを再利用して作られるこの素材は、驚くほど軽く、水に強いのが特徴。しかし、「植物由来で本当に丈夫なの?」「すぐにボロボロにならない?」という疑問を持つ方も多いはずです。
この記事では、アップルレザーバッグの寿命やメリット・デメリット、そして失敗しない選び方を、素材の特性から徹底解説します。
アップルレザーのバッグが選ばれる3つの理由
数あるヴィーガンレザーの中でも、なぜ今「アップルレザー」が注目されているのでしょうか。アパレル業界で採用が急増しているのには、明確な理由があります。
まず1つ目は、「驚異的な軽さ」です。
リンゴの繊維は非常に軽量で、パウダー状にして樹脂に混ぜ込むことで、本革のような厚みを持たせつつ、空気を含んだような軽さを実現しています。PCを入れるリュックや、荷物が多くなりがちなトートバッグでも、肩への負担が劇的に軽減されます。
2つ目は、「水や汚れへの強さ」です。
本革は水濡れ厳禁ですが、アップルレザーは表面が樹脂でコーティングされているため、雨を弾きます。突然の雨でもシミになりにくく、サッと拭くだけでケアが完了するため、忙しい現代人のライフスタイルに最適です。
3つ目は、「しっとりとした質感」。
安価な合皮にありがちな「ビニールっぽいペタペタ感」が少なく、パウダースノーのようなさらっとした肌触りが特徴です。動物愛護や環境配慮といったエシカルな側面だけでなく、単純に「素材として優秀」だからこそ選ばれています。
寿命はどれくらい?耐久性とデメリットを解説
購入を検討する際、最も気になるのが「寿命」ではないでしょうか。植物由来と聞くと「すぐに腐るのでは?」と心配になるかもしれませんが、実際は一般的な合皮と同等か、それ以上の耐久性を持っています。
アップルレザーの寿命は、製品のグレードにもよりますが、一般的に3年〜5年程度と言われています。
これは素材のベースに使われている「ポリウレタン樹脂(PU)」の経年劣化によるものです。しかし最近では、加水分解(湿気による劣化)に強い「ポリカーボネート系」の樹脂を使用した、10年近い耐久性を持つ高品質なアップルレザー(例:国産のaplenaなど)も登場しています。
一方で、デメリットも理解しておく必要があります。
最大のデメリットは、「エイジング(経年変化)しないこと」です。本革のように使い込むほどに色が濃くなったり、艶が出たりすることはありません。購入時のきれいな状態が長く続くというメリットの裏返しでもありますが、「革を育てる」楽しみを求める方には不向きと言えるでしょう。
参考:撥水性、耐荷重、耐久性… 気になる「アップルレザー」の実力とは?(LOVST TOKYO)
本革・合皮・アップルレザーの比較表
「結局、どれが自分に合っているの?」と迷っている方のために、一般的な本革、安価な合皮、そして高品質なアップルレザーの違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 本革(牛革など) | 一般的な合皮(PU) | アップルレザー |
|---|---|---|---|
| 重量 | 重い | 軽い | 非常に軽い |
| 水濡れ | 弱い(シミになる) | 強い | 強い(撥水性あり) |
| 耐久性(寿命) | 10年以上(手入れ次第) | 2〜3年 | 5〜10年(品質による) |
| 質感 | しっとり・硬め | ツルツル・ビニール感 | さらさら・パウダリー |
| 経年変化 | あり(味が出る) | なし(劣化する) | なし(新品を維持) |
| 価格帯 | 高め | 安い | 中価格帯 |
このように比較すると、アップルレザーは「本革の高級感」と「合皮の機能性」のいいとこ取りをした素材であることがわかります。
失敗しないアップルレザーバッグの選び方
アップルレザー人気に伴い、様々なブランドから商品が発売されていますが、選ぶ際にはいくつかポイントがあります。
まず確認したいのが、「樹脂の種類」や「品質テストの結果」です。
前述の通り、同じアップルレザーでも耐久性には差があります。公式サイトで「ジャングル試験(劣化促進テスト)クリア」や「高耐久ポリウレタン使用」といった記載があるブランドを選ぶと、長く愛用できるでしょう。
次に、「裏地(バッキング)の素材」もチェックポイントです。
アップルレザーは、リンゴの粉末を混ぜた樹脂を布地に塗布して作られます。この裏地がしっかりとしたコットンや再生ポリエステルで作られているバッグは、型崩れしにくく丈夫です。
最後に、「デザインの相性」です。
アップルレザーは柔らかく加工しやすいため、丸みのあるデザインが得意です。カチッとしたビジネスバッグも素敵ですが、素材の柔らかさを活かしたトートバッグや巾着型のバッグなどは、特有の質感が際立ちおすすめです。
おすすめのアップルレザーバッグブランド
日本国内で購入できる、信頼性の高いアップルレザー専門ブランドや取り扱いブランドをご紹介します。
LOVST TOKYO(ラヴィスト トーキョー)
日本のアップルレザーブームの火付け役とも言えるブランドです。初期はイタリア製の素材を使用していましたが、現在は青森県のJAアオレンや共和ライフテクノ株式会社と協力し、より耐久性の高い国産アップルレザー「aplena(アプレナ)」を開発・採用しています。
シンプルで洗練されたデザインが多く、ビジネスリュックから日常使いのトートまで幅広いラインナップが魅力です。
参考:LOVST TOKYO![]()
LOVST TOKYOの口コミ・評判|アップルレザーの劣化は?メリット・デメリットを徹底解説
SORENA(ソレナ)
長野県発のブランドで、同県産の廃棄リンゴを活用した独自の「りんごレザー®」を展開しています。
地域資源の有効活用に深く取り組み、環境に配慮したサステナブルなアイテムを提案しています。国内におけるアップルレザーのパイオニア的存在の一つです。
海外ブランドも増えていますが、修理やアフターケアの面を考えると、まずは国内で実績のあるブランドから選ぶのが安心です。
参考:SORENA
長持ちさせる簡単なお手入れ方法
アップルレザーは「メンテナンスフリー」に近い素材ですが、少し気を使うだけでさらに長持ちさせることができます。
基本のお手入れは、「乾拭き」だけで十分です。
使用後に柔らかい布でサッと表面を拭き、ホコリや汚れを落としましょう。もしジュースやコーヒーをこぼしてしまった場合は、水で濡らして固く絞った布で拭き取り、その後に乾拭きをすればシミになりません。
注意点として、「アルコール消毒液」や「防水スプレー」は基本的に不要、あるいは避けた方が無難です。
強力なアルコールは樹脂のコーティングを傷める可能性があります。また、元々撥水性が高いため、防水スプレーは必須ではありません。どうしても使いたい場合は、目立たない場所で変色しないかテストしてから使いましょう。
保管する際は、直射日光と多湿を避けるのが鉄則です。クローゼットの奥にしまい込まず、通気性の良い不織布などに入れて保管してください。
まとめ
アップルレザーのバッグは、単なる「本革の代用品」ではありません。その軽さと使い勝手の良さは、一度使うと手放せなくなる快適さがあります。
- 軽くて水に強いので、通勤や雨の日も快適。
- 耐久性は3年〜10年。高品質なものほど長持ちする。
- エイジングはしないが、きれいな状態を長く保てる。
環境に優しく、自分にも優しいアップルレザー。ぜひあなたのライフスタイルに合う一つを見つけて、その軽やかな使い心地を体験してみてください。









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