台風の名前がダサい?実は深い意味がある理由と命名ルールを徹底解説

台風の名前がダサい?実は深い意味がある理由と命名ルールを徹底解説

「台風コップ」「ノグリー」など、時に“変な名前”と話題になる台風名。ですが実は、各国が文化や自然を反映して選んだ大切な防災ワードです。本記事では台風名の意味や命名ルール、なぜ印象的な名前が多いのかを分かりやすく解説します。

目次

台風の名前が「ダサい」と感じるワケ

「台風◯号」ではなく「台風ノグリー」「台風コップ」など独特の呼び名を耳にすると、つい「ちょっとダサいかも」と感じる人は少なくありません。けれども、こうした名前には被害の記録を伝えやすくし、防災意識を高めるという大切な役割があります。

さらに、各国・地域が文化的な多様性を尊重し合うために、2000年以降は北西太平洋域の14の国と地域が持ち寄った“140個のアジア名リスト”が順番に使用されているのです。メディア報道で頻繁に使われるうち、聞き慣れない単語が“微妙”に聞こえてしまうだけで、実は固有の意味やストーリーが隠れています。

台風の命名ルール:アジア14か国が持ち寄った140個のリスト

命名はESCAP/WMO台風委員会が管理し、カンボジアの「ダムレイ(象)」を皮切りに140個の名前を発生順に付与していきます。リストが一巡するのはおよそ5〜6年ごとで、発生数が多い年は一気に進みます。

命名基準は「動植物・天文・伝説など各国語で親しみやすい単語」であること。人名は原則使われません。日本からは「くじら」「やぎ」「こぐま」など十二支や動物が選ばれており、覚えやすさと防災広報の両立が意識されています。
参考:気象庁「台風の番号とアジア名の付け方」

最新アップデート:2024年に追加された9つの新しい名前

2024年6月、甚大な被害で引退した名前を置き換えるため「ジャムジャリ(韓国語でトンボ)」「ツィンマ(香港の吊り橋名)」「トケイ(日本の朱鷺)」「オンマン(グアムのコウモリ)」など9件が採択されました。

これらは2025年以降の発生順にリストへ組み込まれ、旧名と同じ番号帯に割り当てられます。名前の空白期間が生じないよう即時適用されるため、今季発生する台風で早くも耳にする可能性があります。
参考:WMO News「9 new typhoon names are put into use from June 6 2024」

日本が提案した台風名と意味─「くじら」から「やぎ」まで

日本が提出した10個の名前は動物や星座に由来し、たとえば「くじら(鯨)」は海洋国らしい象徴、「やぎ(山羊)」はやぎ座、「うさぎ」はうさぎ座、「こぐま」はこぐま座を指します。星座シリーズは夜空を見上げて台風を想起しやすいという理由も。

2023年には「てんびん」が発生し、SNSで“バランス感覚が良さそう”と話題になりました。意味を知ると愛着が湧き、防災情報にも耳を傾けやすくなる効果が期待されています。

思わず二度見するユニークな名前TOP10

  • 1位「コップ」(タイ語でコイ科の魚)
  • 2位「コンパス」(香港の羅盤山から)
  • 3位「マラカス」(フィリピン語で“強い”)
  • 4位「チャンホン」(ラオス語で木の名)
  • 5位「ハト」(日本語で鳩座)
  • 6位「バビンカ」(マカオの卵菓子)
  • 7位「キロギー」(北朝鮮で雁)
  • 8位「ノグリー」(韓国語でたぬき)
  • 9位「ルピート」(タイ語で太陽)
  • 10位「サリカー」(カンボジア語で鳥)

語感だけで判断すると奇抜ですが、原語では自然や文化を象徴する立派な単語なのです。

その意味を知ると納得?各国言語の文化背景

台風名は多言語に渡るため、カタカナ表記ではニュアンスが削がれてしまいます。たとえば「チャンホン(ຈັ່ນອົນ)」は香りの強い木、「バビンカ(Bebinca)」は旧ポルトガル領マカオの伝統スイーツ。「ノグリー(너구리)」は日本語で言う“ムジナ”に近い動物です。

こうした背景を知ると、名前に込められた地域文化や生態系へのリスペクトが感じられ、「変な名前=覚えやすい名前」という利点も見えてきます。

「ダサい」より「覚えやすい」が防災に役立つ理由

気象庁や自治体は警報を発する際、台風番号と名前の両方を使用します。固有名があるとSNSや速報で識別しやすく、誤情報の混在を防げます。2019年の「ハギビス(台風19号)」では英語報道との同調に役立ち、海外在住の日本人にも迅速な避難判断を促しました。インパクトのある呼称は“ダサい”と切り捨てず、防災キーワードとして活用すべき資産なのです。

名前が引退するケースと新しい名前への交代

甚大な被害をもたらした台風は、その名前の再利用を避けるため委員会決議でリストから除外されます。過去には「ハイエン(2013年・フィリピンで7000人超死亡)」や「ハグピート(2004年)」などが引退。後継名は加盟国が新たに提案し、発音・意味・文化的配慮などを審査したうえで採択されます。この仕組みにより、被災地の心情への配慮と今後の防災伝承が両立しています。
参考:Typhoon Committee 「LIST OF TROPICAL CYCLONE NAMES」

まとめ:台風名を知って防災意識を高めよう

台風名は「聞き慣れない=ダサい」と片付けられがちですが、実際には各国の文化・生態系・歴史が凝縮された“防災の合言葉”です。意味や由来を知れば覚えやすくなり、速報にも敏感に反応できます。

来シーズン以降は新しい9つの名前も登場しますので、ぜひチェックして家族や友人と共有しましょう。名前の背景を語ること自体が防災教育になり、台風被害の軽減にもつながります。

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