SDGsの最後に位置づけられている目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、他の16の目標すべてを支える基盤です。この記事では、なぜパートナーシップが重要なのか、国や企業、市民がどのように協力すべきか、そして私たち一人ひとりにできることについて、やさしく解説します。
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは?
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは、SDGsの他の1〜16の目標を達成するために、国や企業、NPO、市民など、さまざまな立場の人たちが協力し合う仕組みを作ろう、という目標です。
SDGsが掲げる貧困や不平等、気候変動といった地球規模の課題は、あまりにも大きく複雑です。
そのため、どれか一つの国や、特定の組織だけで解決できるものではありません。
例えば、ある国がプラスチックごみを減らそうと一生懸命頑張っても、他の国が大量に排出し続けていれば、海の汚染は止まらないでしょう。
企業が環境に良い製品を開発しても、それを消費者が選ばなければ社会は変わりません。
このように、SDGsの達成には、あらゆる垣根を越えた協力、つまり「パートナーシップ」が不可欠なのです。
目標17は、他のすべての目標を達成するための「土台」や「手段」となる、非常に重要な役割を担っています。
なぜSDGs目標17「パートナーシップ」が重要視されるのか
目標17がこれほどまでに重要視される理由は、複雑な社会課題を解決する「相乗効果」を生み出すからです。
それぞれの立場には、得意なことと不得意なことがあります。
- 政府・自治体:法律やルール作り、大規模なインフラ整備が得意。
- 企業:新しい技術開発や、効率的なサービス提供が得意。
- NPO・NGO:特定の分野に関する専門知識や、現場での活動経験が豊富。
- 大学・研究機関:客観的なデータに基づいた研究や、専門的な知見を提供。
- 市民一人ひとり:消費行動やライフスタイルの選択、地域活動への参加が可能。
これらがバラバラに活動していては、大きな力にはなりません。
しかし、それぞれの強みを持ち寄って協力すれば、どうでしょうか。
例えば、「子どもの貧困」という課題に対し、政府が補助金を出し(資金)、企業が栄養のある食事を安価で提供し(技術・サービス)、NPOが子どもたちの居場所を作る(現場活動)、という連携が考えられます。
これがパートナーシップの力であり、一人では決して生み出せない大きな成果につながるのです。
SDGs目標17の具体的なターゲット内容
目標17には、パートナーシップを具体的に進めるための19個のターゲット(詳細な目標)が設定されています。
これらは内容によって「資金」「技術」「能力構築」「貿易」「体制」の5つのカテゴリーに分けられます。
少し専門的ですが、どのような協力が求められているかを知るために、内容を要約した表を見てみましょう。
カテゴリ | 主なターゲット内容の要約 |
---|---|
資金(Finance) | 途上国を支援するための政府開発援助(ODA)の約束を守る。各国内で税金を集める力を高め、資金を確保する。 |
技術(Technology) | 環境に良い技術(環境配慮技術)の開発や移転を促進する。途上国がインターネットをもっと利用できるように支援する。 |
能力構築(Capacity-building) | 途上国がSDGsを達成するための計画を実行できるよう、さまざまな分野での能力向上を支援する。 |
貿易(Trade) | 世界貿易機関(WTO)を中心とした、誰もが利益を得られる多角的な貿易体制を促進する。途上国からの輸出を増やす。 |
体制(Systemic issues) | 各国がSDGs達成のために、一貫性のある政策を立てられるようにする。さまざまな関係者が参加するパートナーシップを推進する。 |
このように、お金やモノ、情報、ノウハウなど、あらゆる面での国際的な協力体制を強化することがうたわれています。
単に「仲良くしよう」という精神論だけでなく、具体的な仕組みづくりが求められている点も、この目標の大きな特徴です。
私たちにできること|身近なパートナーシップ事例
「パートナーシップなんて、国や大きな企業の話でしょう?」と感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
私たちの日常生活の中にも、目標17につながる行動がたくさんあります。
一つの分かりやすい例が、フェアトレード商品を選ぶことです。
フェアトレードとは、開発途上国の生産者と公正な価格で取引された製品のこと。
私たちがコーヒーやチョコレートなどのフェアトレード商品を購入する行動は、遠い国の生産者の生活向上を支える「消費を通じたパートナーシップ」と言えます。
また、地域の活動に参加するのも立派なパートナーシップです。
例えば、地域の清掃活動に参加すれば、自治体や他の住民と協力して「住みやすい街づくり」という共通の目標に取り組むことになります。
ほかにも、NPOへの寄付やボランティア活動への参加、SNSで信頼できる情報を発信してSDGsの認知度を高めることも、重要なアクションの一つです。
すべての行動は、誰かとの「協力」の上に成り立っています。
自分が社会の一員として、誰と、どのように協力できるかを考えてみることが、目標17の第一歩になるでしょう。
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まとめ
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、他の16目標すべてを達成するためのカギとなる、土台のような目標です。
政府、企業、市民社会、そして私たち一人ひとりが、それぞれの強みを活かして協力し合うことで、初めて地球規模の課題に立ち向かうことができます。
「自分にできることは小さい」と感じるかもしれません。
しかし、その小さな行動が誰かの行動とつながり、パートナーシップの輪が広がっていくことで、持続可能な未来を実現する大きな力に変わっていくのです。
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