SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」では、地球温暖化や異常気象の影響を抑えるために「緩和策」と「適応策」の二軸で世界が協力する重要性を説いています。この記事では、その具体例や私たちにできるアクションをわかりやすく解説します。
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、その名の通り、地球温暖化や異常気象といった気候変動がもたらす影響を減らすための世界共通の目標です。
私たちの生活や経済活動によって排出される温室効果ガスが原因で、地球の平均気温は上昇を続けています。このままでは、生態系や私たちの暮らしに深刻なダメージが及ぶと予測されているのです。
そこで、この目標では気候変動への対策を「緩和策」と「適応策」の2つのアプローチで進めることを目指しています。
アプローチ | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
緩和策 | 温室効果ガスの排出を減らすための取り組み | ・再生可能エネルギーの利用・省エネルギーの推進・森林の保護・植林 |
適応策 | すでに起こっている、また将来予測される気候変動の影響に備えるための取り組み | ・ハザードマップの作成・洪水対策のインフラ整備・熱中症対策の強化 |
目標13では、これらの対策を世界中の国々が協力して進めること、そして特に開発途上国への支援を強化することの重要性を訴えています。未来の世代が安心して暮らせる地球環境を残すために、国際社会全体で取り組むべき喫緊の課題といえるでしょう。
具体的なターゲットを分かりやすく解説
SDGs目標13には、より具体的な5つのターゲット(達成基準)が設定されています。少し専門的な表現もありますが、一つずつ見ていきましょう。
- 13.1 すべての国で、気候変動が原因の災害に対応できる力をつける自然災害への備えを強化し、もしもの時に素早く復旧できるような社会づくりを目指すということです。防災計画の策定や、インフラの強化などが含まれます。
- 13.2 気候変動への対策を、国の政策や計画に盛り込む気候変動対策を「特別なこと」と捉えるのではなく、国の基本的な方針や戦略の中に組み込んでいこう、という考え方です。エネルギー政策や都市計画など、あらゆる分野で気候変動を意識することが求められます。
- 13.3 気候変動に対応するための教育や啓発、人や組織の能力を高める多くの人が気候変動問題を正しく理解し、対策の重要性を知ることが行動の第一歩です。学校教育やメディアを通じて知識を広め、一人ひとりが何をすべきかを考えられるように働きかけます。
- 13.a 先進国が約束した「年間1,000億ドル」を途上国のために集め、活用する気候変動対策には多額の資金が必要です。特に資金や技術が不足しがちな開発途上国を支援するため、先進国が協力してお金を集め、その使い道を明確にすることを約束しています。
- 13.b 女性や若者、地域の人々が参加できる形で、途上国の気候変動対策の計画づくりや実施を助ける気候変動の影響を特に受けやすいのは、立場の弱い人々です。そうした人々の意見もきちんと聞きながら、より効果的な対策を進めていく仕組みづくりを目指しています。
参考:SDGsとは?(外務省)
世界と日本の気候変動の現状
「気候変動」と聞いても、遠い未来の話のように感じるかもしれません。しかし、その影響はすでに世界中で、そして私たちの住む日本でも現れ始めています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告によると、世界の平均気温は工業化以前(1850~1900年)と比べて、すでに約1.1℃上昇しました。このまま対策を取らなければ、今世紀末にはさらに気温が上昇し、深刻な事態を招くと警告されているのです。
日本でも状況は同じです。日本の年平均気温は、100年あたり1.30℃のペースで上昇しており、世界平均よりも早いペースで温暖化が進行しています。特に近年は、夏の猛暑日が増え、熱中症で救急搬送される人の数も高止まりの状態です。
また、温暖化は気温の上昇だけでなく、大雨の頻度を増やす原因にもなっています。短時間に集中的に降る「ゲリラ豪雨」や、線状降水帯による河川の氾濫など、水害のリスクも年々高まっています。私たちの安全な暮らしが、気候変動によって脅かされ始めていることを認識する必要があるでしょう。
気候変動対策、私たちにできること【個人編】
気候変動は大きな問題ですが、私たち一人ひとりの日々の選択が、未来を変える力になります。ここでは、今日から始められる具体的なアクションを3つ紹介します。
省エネでCO2排出を削減する
家庭で使うエネルギーの多くは、電気やガスです。これらを作る過程では、たくさんの二酸化炭素(CO2)が排出されます。つまり、日々の暮らしで省エネを心がけることが、温室効果ガスの削減に直接つながるのです。
例えば、使わない部屋の電気はこまめに消す、テレビのつけっぱなしをやめる、といった小さなことから始められます。冷暖房の設定温度を夏は1℃高く、冬は1℃低くするだけでも、大きな省エネ効果が期待できます。また、古い家電を省エネ性能の高いものに買い替えるのも、長期的に見れば効果的な対策といえるでしょう。移動の際には、なるべく公共交通機関を利用したり、近場であれば自転車や徒歩を選んだりすることも、CO2削減に貢献します。
食品ロスを減らして資源を守る
実は、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」も、気候変動と深く関係しています。食品が生産され、私たちの食卓に届くまでには、多くのエネルギーが使われています。食べ物を捨てることは、その生産過程で排出されたCO2を無駄にしてしまうことになるのです。
また、捨てられた食品は焼却処分される際にCO2を排出し、埋め立てられた場合はメタンガスという強力な温室効果ガスを発生させます。食品ロスを減らすためには、買い物前に冷蔵庫の中身を確認し、必要な分だけ購入することが大切です。食べきれなかった料理は冷凍保存するなど、食材を無駄にしない工夫を心がけましょう。外食時には、食べきれる量を注文することも重要なアクションです。
3Rを意識してごみを減らす
ごみを減らすことも、気候変動対策につながります。ごみを燃やすときにはCO2が排出され、製品を新しく作るためには多くの資源とエネルギーが必要になるからです。そこで意識したいのが、「3R」です。
- リデュース(Reduce): ごみの発生を減らす。マイバッグやマイボトルを持ち歩く、過剰な包装は断るなど。
- リユース(Reuse): 繰り返し使う。詰め替え用製品を選ぶ、不要になったものを人に譲るなど。
- リサイクル(Recycle): 資源として再利用する。ごみを正しく分別して出す、リサイクル製品を選ぶなど。
まずはリデュース、次にリユース、そして最後にリサイクルという優先順位で取り組むことが効果的です。日々の暮らしの中で「これは本当に必要かな?」と考えてみることが、ごみを減らす第一歩になります。
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まとめ:未来のために、今すぐ行動を
今回は、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」について、現状や私たちができることを中心に解説しました。
気候変動は、遠い国や未来だけの問題ではありません。すでに私たちの生活に影響を及ぼし始めている、差し迫った課題です。
地球の未来を守るためには、国や企業といった大きな単位での取り組みはもちろん、私たち一人ひとりの意識と行動が不可欠です。
省エネを心がけたり、食品ロスをなくしたり、ごみを減らしたり。一つひとつは小さなアクションかもしれません。しかし、その積み重ねが大きな力となり、持続可能な社会を実現する原動力となります。
この記事をきっかけに、ぜひあなたも身近なことから始めてみませんか。
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