こんにちは!
突然ですが、私たちの世界には、生まれた場所や性別、肌の色などが理由で、チャンスが平等に与えられない人たちがいます。国内の都市と地方の格差、国同士の経済的な差など、さまざまな「不平等」が存在しているのが現状です。
この記事では、そんな世界の不平等をなくすための目標、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」について、イラストや具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
「自分には関係ないかも?」と思っている方も、この記事を読めば、きっと世界の見え方が少し変わるはず。ぜひ、最後までお付き合いください。
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、その名の通り、生まれた国や人種、性別、年齢、障がいの有無などに関わらず、誰もが平等な機会を得られる社会を目指すための目標です。正式には「国内および国家間の不平等を是正する」と掲げられています。
もう少し具体的に言うと、下記のような内容を目指しています。
- 貧しい人たちの所得を増やす
- 性別や人種などによる差別をなくす
- 誰もが政治や経済、社会活動に参加できるようにする
- 途上国が国際的なルール決めに参加しやすくする
- 安全な移住や移民ができるようなルールを整える
つまり、経済的な格差だけでなく、社会的な立場や発言力の差もなくしていこう、という目標です。一部の人だけが豊かになるのではなく、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、この目標10は非常に重要な役割を担っています。
なぜ不平等をなくす必要があるの?
「ある程度の格差は仕方ないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、過度な不平等は、私たちの社会にさまざまな問題を引き起こします。
経済的な格差がもたらす影響
経済的な不平等は、単にお金持ちとそうでない人がいる、というだけの話ではありません。
例えば、貧しい家庭に生まれた子どもは、十分な教育を受けられなかったり、栄養のある食事がとれなかったりする可能性があります。そうなると、将来良い仕事に就くチャンスが減り、貧困が次の世代へと引き継がれてしまう「貧困の連鎖」に陥りやすくなります。
また、一部の人に富が集中しすぎると、社会全体でモノが売れなくなり、経済の成長が止まってしまうことも。不平等をなくすことは、社会全体の安定と持続的な成長のためにも不可欠なのです。
社会的な差別と人権の問題
不平等は、経済的な側面だけではありません。性別、人種、民族、宗教、障がいなどを理由にした社会的な差別も深刻な問題です。
「女性だから管理職になれない」「外国人だから家を借りにくい」といった差別は、個人の尊厳を傷つけ、持っている能力を最大限に発揮する機会を奪ってしまいます。
このような社会的な不平等は、人々の間に分断や対立を生み、社会不安の原因にもなりかねません。誰もが自分らしく、尊重されながら生きていける社会を作るために、あらゆる差別をなくしていく必要があります。
世界と日本の不平等の現状をデータで見る
では、実際に世界や日本では、どのくらい不平等が存在するのでしょうか。客観的なデータを見てみましょう。
世界の所得格差と資産の偏り
世界では、富の偏りが深刻化しています。国際NGOオックスファムの報告によると、世界で最も裕福な5人の億万長者の資産は、2020年以降で2倍以上に増加しました。一方で、最も貧しい約50億人の資産は減少しているという衝撃的なデータがあります。
このように、ごく一部の人々に富が集中する状況は、多くの人々が貧困から抜け出せない原因となっています。特に開発途上国では、医療や教育などの基本的なサービスさえ受けられない人々が大勢いるのが現実です。
日本に潜むさまざまな格差
「日本は平等な国」というイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまな格差が存在します。
例えば、日本の相対的貧困率(国民の所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合)は15.4%で、これは先進国の中でも高い水準です。特に、子どもの貧困率(11.5%)や、ひとり親世帯の貧困率は深刻な問題となっています。
また、男女間の格差を示す「ジェンダー・ギャップ指数2023」では、日本は146カ国中125位と、非常に低い順位です。特に政治・経済分野での女性の参加が遅れており、早急な対策が求められています。
【比較表:日本における格差の例】
項目 | 現状 | 課題 |
---|---|---|
男女間の賃金格差 | 男性の賃金を100とした場合、女性は77.5(2022年) | 同じ仕事でも女性の賃金が低い傾向がある。 |
正規・非正規雇用 | 役員を除く雇用者のうち、約4割が非正規雇用 | 非正規雇用は賃金が低く、雇用が不安定になりやすい。 |
都市と地方の格差 | 東京一極集中が進み、地方では人口減少や産業の衰退が課題 | 医療や教育、公共交通などのサービスに地域差が生じている。 |
このように、私たちの足元にも、目を向けるべき多くの不平等が存在しているのです。
参考:厚生労働省 2022年 国民生活基礎調査、男女共同参画局「共同参画」2023年8月号
不平等をなくすための世界の取り組み事例
深刻な不平等を解決するため、世界中でさまざまな取り組みが行われています。
企業の取り組み:フェアトレード
皆さんは「フェアトレード」という言葉を聞いたことがありますか?これは、開発途上国の原料や製品を、適正な価格で継続的に購入する貿易の仕組みです。
私たちが普段飲んでいるコーヒーや、食べているチョコレート。その原料であるカカオ豆やコーヒー豆は、多くが開発途上国で作られています。しかし、通常の貿易では、生産者は非常に安い価格で買い叩かれ、厳しい労働環境で働かざるを得ないことがあります。
フェアトレードは、こうした生産者に公正な対価を支払うことで、彼らの生活向上や自立を支援する仕組みです。私たちがフェアトレード製品を選ぶことは、遠い国の生産者の笑顔につながる、身近な国際協力と言えるでしょう。
国際社会の取り組み:マイクロファイナンス
「マイクロファイナンス」とは、貧困層や低所得者層を対象にした、小規模な金融サービスのことです。
開発途上国では、銀行口座を持てなかったり、事業を始めたくても担保がなくてお金を借りられなかったりする人が大勢います。マイクロファイナンスは、そうした人々に少額の融資(マイクロクレジット)などを行い、彼らがビジネスを始めたり、スキルを身につけたりするのを手助けします。
ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が設立したグラミン銀行が有名で、貧困削減に大きな効果を上げています。これは、単にお金を与えるのではなく、人々が自らの力で貧困から抜け出す「機会」を提供する、非常に重要な取り組みです。
私たちができること|不平等をなくすための第一歩
「世界規模の問題は、自分にはどうすることもできない…」と感じるかもしれません。でも、そんなことはありません。私たち一人ひとりの小さな行動が、不平等をなくすための大きな力になります。
情報を知り、関心を持つこと
まず一番大切なのは、世界や日本で起きている不平等の問題について「知る」ことです。ニュースを見たり、信頼できるウェブサイトを読んだりして、現状への理解を深めましょう。なぜ不平等が起きるのか、どんな人が苦しんでいるのかを知ることが、すべての始まりです。
毎日の買い物で世界を変える
私たちの消費行動は、社会に対する「投票」です。例えば、先ほど紹介したフェアトレード製品や、障がいのある人の雇用を積極的に進めている企業の商品を選ぶ「エシカル(倫理的な)消費」を心がけてみましょう。一つひとつの選択が、人や環境に配慮した社会を作る一票となります。
声を上げ、想いを伝える
不平等の問題について、家族や友人と話してみるのも素晴らしいアクションです。SNSで情報をシェアしたり、不平等是正に取り組む団体を応援したりすることもできます。一人ひとりの声が集まれば、社会を動かす大きなうねりになるはずです。
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まとめ:誰もが尊重される社会を目指して
今回は、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」について解説しました。
【この記事のポイント】
- 目標10は、経済的・社会的なあらゆる不平等をなくし、誰もが平等な機会を得られる社会を目指すもの。
- 不平等は、貧困の連鎖や社会の分断など、さまざまな問題を引き起こす。
- 世界でも日本でも、所得格差やジェンダーギャップなど、多くの不平等が依然として存在する。
- フェアトレードやエシカル消費など、私たちにもできることはたくさんある。
不平等の問題は非常に根深く、解決は簡単ではありません。しかし、見て見ぬふりをするのではなく、一人ひとりが「おかしい」と感じたことに向き合い、行動を起こすことが大切です。
誰もが自分らしく、尊厳を持って生きていける。そんな当たり前の社会を未来に残すために、あなたも今日からできることを始めてみませんか?
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