「SDGsの目標に、0番『人類をなくそう』というものがあるらしい」
SNSやネット上で、そんな衝撃的な噂を耳にしたことはありませんか?
にわかには信じがたい、過激な目標ですよね。
しかし、環境問題や社会問題の根本原因を考えると、あながち的外れでもないような気もして、つい気になってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ネット上で話題の「SDGs0番:人類をなくそう」の正体について、その元ネタや生まれた背景、そしてSDGs本来の目的と比較しながら分かりやすく解説します。
SDGs0番「人類をなくそう」の正体はネットミーム
結論から言うと、SDGsに0番「人類をなくそう」という目標は存在しません。
これは、インターネット上で生まれたジョーク、いわゆる「ネットミーム」の一種です。
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された国際目標であり、「17のゴール(目標)」と「169のターゲット(具体的な目標)」で構成されています。公式サイトにも、0番という目標は記載されていません。
ではなぜ、このようなミームが生まれたのでしょうか。
それは、環境破壊や貧困、紛争といった地球上のさまざまな問題の根源を突き詰めると、「人間自身の存在や活動」に行き着くという、ある種の皮肉や風刺が込められているからです。
「いっそ人類がいなくなれば、全ての地球環境問題は解決するのに」という、ブラックユーモアとして多くの人の共感を呼び、SNSなどを中心に拡散されていきました。
参考:SDGsとは?|外務省
なぜ「人類をなくそう」という過激な目標が生まれたのか
このミームが生まれた背景には、SDGsが掲げる理想の高さと、現実の厳しさとのギャップがあると考えられます。
SDGsは「誰一人取り残さない」という素晴らしい理念を掲げていますが、その目標達成は決して簡単ではありません。むしろ、人間の経済活動や生活様式そのものを変革しなければならない、困難な課題ばかりです。
例えば、目標13「気候変動に具体的な対策を」を達成するには、二酸化炭素の排出量を大幅に削減する必要があります。しかし、それは私たちの便利な生活を支えるエネルギー消費や生産活動を根本から見直すことを意味します。
こうした厳しい現実を前に、「小手先の対策では意味がないのでは?」「結局、人間がいる限り問題は解決しないのでは?」という諦めや無力感が、この過激なミームを生み出す土壌になったのかもしれません。
ある意味で、多くの人が地球の未来に対して抱いている潜在的な不安や危機感を、的確に表現した言葉だといえるでしょう。
実際のSDGs17の目標と比較
「SDGs0番」がジョークであることは分かりましたが、では本来のSDGsにはどのような目標があるのでしょうか。
ここで、国連が定める正式な17の目標を確認してみましょう。
アイコン | 目標 |
---|---|
1 | 貧困をなくそう |
2 | 飢餓をゼロに |
3 | すべての人に健康と福祉を |
4 | 質の高い教育をみんなに |
5 | ジェンダー平等を実現しよう |
6 | 安全な水とトイレを世界中に |
7 | エネルギーをみんなに そしてクリーンに |
8 | 働きがいも経済成長も |
9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう |
10 | 人や国の不平等をなくそう |
11 | 住み続けられるまちづくりを |
12 | つくる責任 つかう責任 |
13 | 気候変動に具体的な対策を |
14 | 海の豊かさを守ろう |
15 | 陸の豊かさも守ろう |
16 | 平和と公正をすべての人に |
17 | パートナーシップで目標を達成しよう |
このように、実際の目標は、人類が豊かに、そして平和に暮らし続けるための非常に前向きなものばかりです。「人類をなくそう」というミームとは、全く正反対の方向を向いていることがよく分かります。
SDGsの本来の目的と私たちにできること
「SDGs0番」は、SDGsへの関心を引くきっかけにはなるかもしれませんが、もちろんそれがゴールではありません。大切なのは、SDGsが本来何を目指しているのかを正しく理解し、自分たちに何ができるかを考えることです。
SDGsの根本にあるのは、「今の世代の幸せだけではなく、未来の世代の幸せも守りながら、地球全体をより良くしていこう」という考え方です。
壮大な目標に聞こえますが、特別なことだけがSDGsへの貢献ではありません。
まずはSDGsを知ることから始めよう
「SDGsに関心はあるけど、何から始めればいいか分からない」
そう感じる方は、まず17の目標の中で、自分が特に興味のあるもの、身近に感じるものを一つ見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
例えば、「食べることが好き」なら目標2「飢餓をゼロに」や目標12「つくる責任 つかう責任」について調べてみる。「動物が好き」なら目標15「陸の豊かさも守ろう」について深掘りしてみる、といった形です。
一つのテーマを入り口にすることで、SDGs全体への理解が深まっていくはずです。
日常生活で取り組める小さな一歩
SDGsへの貢献は、日常生活の小さな選択の積み重ねでもあります。
- 節電や節水を心がける(目標7, 12, 13)
- 食品ロスを減らす(目標2, 12)
- マイバッグやマイボトルを持参する(目標12, 14)
- フェアトレード製品を選ぶ(目標1, 8, 10)
- 選挙に行って意思表示をする(目標16)
これらの一つひとつは小さな行動かもしれませんが、多くの人が実践することで、社会を動かす大きな力になります。
まとめ
この記事では、ネットミームである「SDGs0番:人類をなくそう」の正体と、その背景にある皮肉、そしてSDGs本来の目的について解説しました。
- SDGs0番「人類をなくそう」は、公式の目標ではなくネット上のジョーク
- 人間の活動が環境問題の根源にある、という皮肉が込められている
- 実際のSDGsは、人類の持続可能な未来を目指す17の前向きな目標で構成される
- 大切なのは、SDGsを正しく理解し、日常生活でできることから始めること
「人類をなくそう」という過激な言葉は、私たちに地球が抱える問題の深刻さを突きつけ、SDGsについて考えるきっかけを与えてくれます。
このミームを単なる面白いジョークで終わらせず、ぜひ本来のSDGsについて学び、未来のための行動を始める第一歩にしてみてください。
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