「最近よく耳にする『エシカル』って、一体どういう意味なんだろう?」
「環境や社会に良いこと、とは聞くけれど、具体的に何をすればいいのか分からない…」
そんな風に感じていませんか?エシカルは、私たちの未来を考える上でとても大切なキーワードです。この記事では、エシカルの基本的な意味から、よく似た言葉であるサステナブルやSDGsとの違い、そして私たちの毎日の暮らしの中で気軽に始められるアクションまで、分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、エシカルがぐっと身近なものになり、明日からの行動が少し変わるかもしれません。
エシカルとは?その基本的な意味
エシカルという言葉が、なぜ今、世界中で注目を集めているのでしょうか。まずはその基本的な意味と、社会的な背景から見ていきましょう。
「倫理的・道徳的」という意味を持つ言葉
エシカル(ethical)とは、英語で「倫理的な、道徳上の」という意味を持つ言葉です。簡単に言うと、「法律で決まっているわけではないけれど、多くの人が正しいと感じる行いや考え方」を指します。
そして、社会的な文脈で使われる「エシカル」は、特に「人や社会、地球環境、地域に対して思いやりのある考え方や行動」を意味する場合がほとんどです。
例えば、私たちが毎日着る服や食べるものが、どこで、誰によって、どのようにつくられているのか。その背景に、不当な労働や環境破壊といった問題が隠れていないか。そうしたモノやサービスの裏側にあるストーリーにまで想像力を働かせ、良識に従って行動しよう、というのがエシカルの基本的な考え方です。
なぜ今「エシカル」が注目されているの?
エシカルという考え方が世界的に広まった背景には、地球規模のさまざまな社会課題があります。
気候変動やプラスチックごみ問題といった環境問題。発展途上国における児童労働や、労働者からの搾取といった人権問題。こうした課題が深刻化するにつれて、「自分の消費行動が、知らず知らずのうちに誰かや何かを傷つけているかもしれない」と考える人が増えてきました。
また、インターネットやSNSの普及により、世界中の情報をリアルタイムで知れるようになったことも大きな要因です。製品の生産背景が可視化され、企業の姿勢が問われるようになり、消費者一人ひとりの選択が社会を動かす力を持つ時代になりました。このような意識の変化が、エシカルという考え方を現代社会に不可欠なものにしているのです。
エシカルとサステナブル、SDGsとの違いは?
エシカルと合わせてよく聞かれる言葉に「サステナブル」や「SDGs」があります。これらは密接に関係していますが、少しずつニュアンスが異なります。その違いを知ることで、より理解が深まります。
視点の違いを比較表で解説
3つの言葉の最も大きな違いは「視点」にあります。以下の表で、それぞれの言葉が何に焦点を当てているのかを確認してみましょう。
言葉 | 焦点 | 意味 |
---|---|---|
エシカル | プロセス・行動 | 人や社会、環境にとって「良い」行動をしようという倫理観・道徳観 |
サステナブル | 結果・状態 | 将来の世代が必要なものを損なうことなく、現代のニーズを満たす「持続可能性」 |
SDGs | 具体的な目標 | 2030年までに達成すべき、世界共通の17の具体的なゴール |
簡単に言えば、エシカルは「良い行いをしよう」という個人の心や行動に、サステナブルは「良い状態を続けよう」という未来を見据えた結果に、そしてSDGsは「みんなでこの目標を達成しよう」という世界共通の具体的なゴールに焦点を当てています。
互いに深く関わり合う大切な考え方
これら3つは、それぞれ視点が異なりますが、バラバラに存在するものではありません。「より良い世界を目指す」という大きな目的は共通しており、互いに深く関わり合っています。
例えば、私たちが「エシカル」な考えに基づき、環境に配慮して作られた製品を選ぶという行動をするとします。その行動が積み重なることで、環境負荷の少ない社会、つまり「サステナブル」な社会の実現に近づきます。そして、その行動は、気候変動対策や海の豊かさを守るといった「SDGs」の目標達成にも直接的に貢献するのです。
このように、「エシカルな行動」が「サステナブルな社会」をつくり、「SDGsの達成」へとつながっていきます。どれか一つだけを考えるのではなく、3つの関係性を理解することが大切です。
私たちの生活に関わる「エシカル消費」とは
エシカルという考え方を、私たちの最も身近な行動である「消費」に結びつけたのが「エシカル消費」です。消費者庁も推進しており、これからの社会のスタンダードとなりつつあります。
人・社会・環境に配慮したお買い物のこと
エシカル消費とは、消費者それぞれが社会的課題の解決を意識し、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことです。言い換えれば、「未来の地球や、生産者の笑顔につながるお買い物」と言えるでしょう。
これまでの消費は、価格や品質、デザインといった、自分自身の利益や満足度が主な判断基準でした。しかしエシカル消費では、そこに「社会や環境にとって良いか?」という新しいものさしが加わります。
例えば、同じ価格のTシャツが2枚あったとして、片方が劣悪な環境で働く人々の労働によって作られているとしたら、もう片方のフェアな環境で作られたTシャツを選びたい、と感じるのではないでしょうか。その思いやりのある選択こそが、エシカル消費の第一歩です。
【分野別】エシカル消費の具体例
エシカル消費は、私たちの生活のあらゆる場面に関わっています。ここでは、代表的な分野とその具体例を紹介します。
エシカルファッション
衣服の生産背景にある労働問題や環境汚染に配慮したファッションです。
- フェアトレード製品:生産者に公正な対価が支払われている
- オーガニックコットン:農薬や化学肥料を使わずに栽培された綿花
- リサイクル・アップサイクル素材:廃棄されるはずだったものから新たな価値を生み出す
- アニマルウェルフェア:動物の福祉に配慮し、毛皮などを使用しない
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エシカルフード
食料の生産から消費までの過程で、環境や生産者に配慮された食品です。
- 地産地消:地元の食材を選ぶことで、輸送エネルギーを削減し、地域経済を応援する
- オーガニック(有機JASマーク):化学肥料や農薬に頼らず生産された食品
- MSC/ASC認証(海のエコラベル):持続可能な漁業や養殖で獲られた水産物
- フードロス削減:食べ残しを減らす、訳あり品を積極的に購入する
エシカルコスメ
原料調達から製造、販売、廃棄までのプロセスで、人や環境に配慮した化粧品です。
- クルエルティフリー:開発や製造の過程で動物実験を行っていない
- 自然由来・オーガニック成分:化学的な成分を極力使わず、自然の恵みを活かす
- 環境に配慮した容器:リサイクル可能な素材や、詰め替え用レフィルがある
明日からできる!身近なエシカルアクション7選
「エシカルって、なんだか意識が高くて難しそう…」と感じる必要はありません。完璧を目指すのではなく、自分のできる範囲で、楽しみながら取り入れることが長続きのコツです。ここでは、誰でも気軽に始められる7つのアクションを紹介します。
1. フェアトレード認証のコーヒーやチョコを選ぶ
スーパーやコンビニでも見かけることが増えた「フェアトレード」のマーク。開発途上国の生産者へ公正な価格が支払われている証です。いつもの一杯をフェアトレード製品に変えるだけで、遠い国の誰かの生活を支えることにつながります。
2. マイボトルやエコバッグを持ち歩く
使い捨てプラスチックを減らす、最もシンプルで効果的なアクションです。今ではおしゃれなデザインのものがたくさんあります。お気に入りのアイテムを見つけると、毎日の習慣にするのが楽しくなります。
3. 地元の野菜や食材を買ってみる(地産地消)
直売所やスーパーの産直コーナーを覗いてみましょう。新鮮で美味しいだけでなく、フードマイレージ(食料の輸送距離)を減らし、地域の農家さんを応援することにもなります。
4. すぐに捨てない、長く使えるものを選ぶ
流行りものを安く買うのも一つの選択ですが、「本当に必要か?」「長く大切に使えるか?」と一度立ち止まって考えてみましょう。修理しながら使えるものや、質の良いものを選ぶことは、結果的にごみを減らし、愛着を育むことにつながります。
5. 電気や水を大切に使う
使っていない部屋の電気を消す、シャワーの時間を少し短くするなど、省エネ・節水も立派なエシカルアクションです。地球の限りある資源を大切に使う意識が、持続可能な未来を作ります。
6. 寄付や募金で応援する
信頼できるNPOや団体を通じて、応援したい活動に寄付するのも素晴らしい方法です。自分の時間や労力を直接使えなくても、お金という形で社会貢献に参加できます。
7. まずは「知る」ことから始める
この記事を読んでくださっているように、まずは社会課題やエシカルについて「知ろう」とすることが、全ての始まりです。関心を持ったテーマについて、本やインターネットで少し調べてみる。それだけでも、あなたの世界は広がり、次なる行動のきっかけになるはずです。
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企業はどんな取り組みをしている?日本のエシカル事例
個人の意識だけでなく、企業の取り組みも社会を変える大きな力になります。日本でも、多くの企業がエシカルな活動を推進しています。
例えば、衣料品大手のユニクロは、着なくなった自社製品を回収し、難民キャンプへの寄贈やリサイクル燃料として再利用する活動を長年続けています。これは、限りある資源を有効活用するエシカルな取り組みです。
また、ハンドソープ「ヤシノミ洗剤」で知られるサラヤ株式会社は、原料であるパーム油の生産地ボルネオの環境保全活動を支援しています。製品の売上の一部を寄付することで、消費者が製品を買うだけで環境保全に貢献できる仕組みを構築しました。
コーヒーチェーンのスターバックスも、倫理的な調達基準を設け、生産者の生活向上や環境保全を支援しながらコーヒー豆を仕入れています。
このように、企業の活動内容を知ることで、私たちは自分の消費行動を通じて「どの企業を応援したいか」を選ぶことができます。企業のウェブサイトなどで、ぜひその姿勢をチェックしてみてください。
まとめ:できることから、少しずつ。エシカルな選択を日常に
エシカルとは、人や社会、環境に対する「思いやり」の気持ちを行動に移すことです。それは決して、何かを我慢したり、ストイックになったりすることではありません。
「どっちのチョコにしようかな」と迷った時に、背景にあるストーリーを想像してみる。
「まだ使えるかな」と、捨てる前にもう一度考えてみる。
そんな日常の小さな選択の積み重ねが、世界を少しずつ良い方向へ動かしていきます。完璧を目指さず、まずは自分にできることから、楽しみながら始めてみませんか。あなたの一つの選択が、より良い未来をつくる、確かな一歩になるはずです。
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